2015年11月

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「うつの8割に薬は無意味」 井原裕








本書のタイトル「うつの八割には無意味」を見て、「それは言い過ぎだ。もっと効くはずだ」とおっしゃる方は、「うつの6割7分に薬は無意味」と読み替えてください。「いや、実際にはそんなに効かないはずだ」とおっしゃる方は「うつの8割8分に薬は無意味」と読み替えてください。

いずれにせよ、薬をのむことに意味があるのは、うつの2割だけ。少なく見積もれば、1割2分だけ。多く見積もっても3割3分だけ。それが事実です。








医者側からすれば「2割もの人に意味があるのなら出すべきだ」と考えます。それどころか「2割もの人が救われるのに、その可能性に賭けることなく、薬を出さないのは罪だ」とすら言う人もいます。

医薬品というものは実のところ、かなり打率の低いバッターです。一般には、NNTが10以外(10人に1人以下)の場合、その薬はかなり有効だとされています。「打率が1割台なら強打者」とされる世界なのです。










加えてそこには「患者さんを手ぶらで帰すわけにはいかない」という精神科医の意識も働いています。これも医者の習性の一つですが「人の役に立ちたい」という奉仕感情だけは人一倍、持っています。「患者さんの役に立ちたい」「助けてあげたい」「治してあげたい」でも、できることといえば、薬物療法だけ、となれば、善意のかたまりの精神科医としては、助けてあげたい一心で薬を出すわけです。










疾患喧伝とは、薬剤の販売促進を意図した「病気の宣伝」です。本来、病気とはいえない程度の身体の些細な不調をとりあげて「病気だ」と騒ぎ立て、やれ「医者にかかれ」だの「治療しないとまずい」だのと喧(かまびす)しく説いて回ることをいいます。

製薬会社が疾患喧伝を行う際には、その対象となる疾患には共通点があります。
それは第一に、正常と異常との境界領域を狙うということ。ここに巨大な市場が隠されています。
第二に、致死的でもなければ、緊急性もないものを狙います。患者さんが急に悪くなってすぐに死んでしまったのでは、利益を上げる暇もありません。製薬会社からみて理想的な患者とは、すぐには死なないで、しかし治るわけでもなく、薬を飲み続けてくれるようなタイプです。
第三に、何万人に1人しかいないような希少疾患ではなく、日本人の数人に1人がかかるような、ごく普通の疾患である必要があります。希少疾患では大きな収益は望めません。膨大な患者数が見込まれて、初めて有益な市場といえるわけです。
第四に、投薬期間が長期にわたる疾患が望ましいのです。数日、数週間で治ってしまっては、その後は薬を使ってくれません。治るのに数ヶ月、数年かかり、そのうえ、再発防止を名目に、長く、望むらくは一生、薬を飲み続けていただくことが理想です。

精神疾患、特に「うつ病」は以上の4つのポイントをすべて満たしていますので、製薬会社としては理想といえます。
SSRIの販売促進を行おうとしたとき、製薬会社は直接薬剤の宣伝を行う代わりに「うつ病」という疾患の宣伝を行いました。これは日本では法的な制約があって、医療品の宣伝には厳しい規制がかけられているからです。薬の代わりに病気の宣伝をして、人々を不安な気持ちにさせて、薬を出してくれる病院へと送り出そうとしました。その際に使った誘い文句が「うつは心の風邪」というものです。
抗うつ薬市場は1998年の約170億円から2007年には一千億円を超えました(富士経済・医療用品医薬品データブック)。

製薬会社の医療情報担当者(MR)は、私ども精神科医の教師ではありません。しかし、彼らは、巧みな営業トークによって、いつの間にか、精神医学の「客員教授」のごとき地位を得ています。
MRは薬剤の情報提供と情報収集の一役を担い、高度の専門性をもち、それに応じた高収入が約束されるステイタスの高い職種です。尊敬すべき存在であることに間違いありません。しかし、一面で彼らは、営利企業の営業職です。そのことを決して忘れてはなりません。










「精神科の薬漬けは、患者さんにも責任がある。」
こう言えば、ネットはたちまち炎上するでしょう。でも、製薬会社も精神科医も口を揃えていいます、「お薬を求めたのはあなたでしょう」と。

この問題は、結局のところ、精神科医・製薬会社・患者の三位一体として理解する必要があります。つまり、患者側の要因ということを無視しては、決して語れません。少なくとも「患者さん側に油断があった」ことは間違いありません。



もし、この世から精神科医がいなくなり、抗うつ薬、抗不安薬がこの世から放逐されれば、どうなるでしょうか。そのとき、人は「自分かわいさ」のあまり、他の薬に頼ったりしないでしょうか。精神科医の代わりに他の医師を呼んだりしないでしょうか。そして、抗うつ薬、抗不安薬の代わりに、今度は麻薬を求めたりしないでしょうか。私はこの点を大いに心配しています。

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病気が逃げ出す「血液循環体操」 二村ヤソ子










筋肉細胞の新陳代謝には筋肉に血液がよく循環していることが欠かせません。筋肉の血液循環が悪くなると体の不調と病気が起きるのです。



私達の筋肉には5つの大きな役割・働きがあります。
1.血液循環をよくする
2.脂肪を燃焼する
3.骨を保護する
4.関節を固定し、動かす
5.体温を調節する





血液循環体操で筋肉を動かすと、その筋肉は「オーイ、血液さん、こっちに来てよ」と呼びかけます。義理堅い血液は、呼ばれた場所に早速駆けつけるのです。
筋肉の中に張り巡らされた細い血管(毛細血管)は、筋肉を動かさない時には半分くらいがお休みしています。血管循環体操で筋肉を動かして血液を呼び、栄養と酸素を筋肉に届けてあげましょう。





血液の主な7つの働き
・栄養を届ける
・呼吸を助ける
・体温を保つ
・病気にならない
・体液のバランスを保つ
・体内のゴミを運び出す
・体の情報伝達を行う




自律神経には交感神経(活動)と副交感神経(休息)があり、体の不随意筋を支配しています。
この2つの神経は体の臓器や器官の働きを自動的に調整して、必要に応じて、交感神経や副交感神経の働きを強めたり弱めたりすることでバランスを保っています。このバランスが崩れると健康が損なわれます。



足は第二の心臓と言われています。
心臓の大変さを応援するために血液循環のポンプの役割をするのが、足(特にふくらはぎ)の筋肉です。






全身の血液循環をよくするのが「その場足踏み」でできる血液循環体操です。高齢の人は椅子に座って行う「座り足踏み」をすることで同様の効果が得られます。
こんなに軽い運動でも、心臓が1回の収縮で送り出す血液の量が、じっとしているときの約4倍に増えることがわかっています。特に少ない運動量で全身の血液循環が増すのが「その場足踏み体操」です。
股関節を柔らかくし、体の深部にある大腰筋の働きを高め、転倒予防にも役立ちます。






歩くときも意識して足の裏に力を入れるようにしましょう。かかとから着地して、足指側に体重を移動させていきますが、その際に足の裏全体でグッと踏みしめることが必要です。踏みしめることで足の裏の血液循環が良くなり、それが、ふくらはぎ、太もも、そして全身の血液循環をよくすることにつながります。

足の裏全体を踏みしめるにはお尻の筋肉をよく使うことがおすすめです。お尻の筋肉を使って歩くようになると、お腹の筋肉が強くなるとともに歩幅が広くなり、歩くスピードもグンと増します。

階段の登り降りも足の裏全体で一段一段踏みしめながら行うことが欠かせません。街で階段を登り降りする光景を観察していると、チョンチョンと軽い動作で足の裏はほとんど使われていません。
足の裏全体を使ってきちんと階段を登り降りすることで、全身の血液循環も良くなるのです。

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